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【個人的読書感想文】科学がつきとめた「運のいい人」  中野信子 著

 

運とは何か?と考える。私は主観的なことで、人それぞれ気持ちの持ちようだと思っている。例えば、宝くじが当たった。とても運がいいと思うだろう。しかしそのあと、強盗に合って、お金を取られた上に怪我をした。結果的に運が良かったと言えるだろうか。やはり主観的なものだと思うが、何かと意識してしまう。それが運だ。なにかと意識してしまう「運」について、脳科学者の視点から、科学的にアプローチしたのが本書を読んでみることにする。

運は作ることができるとある。私たちの身の回りには「見えない」運、不運が無数にあるということである。例えば、普段通っている道に、100万円が入った封筒が落ちていたとする。しかし、その日に限って別の道を選択したために、100万円を拾うことはなかった。いつもと違う道を選んだ点で運を逃しているが、当の本人には「運が悪かった」という自覚は生まれない。雲は一見非科学的に見えるが、実際は科学的な根拠が見つけられることがある。そう考えると目に見えない運や不運は何倍、何十倍も存在しているということが理解できる。結論から言うと誰にでも公平に運は存在している。

私たちはつい、目に見える運・不運だけに着目しがちだ。その裏側には、何倍、何十倍もの自覚できない、検証できない運・不運があることを知っておく必要がある。こう捉えると、誰にでも公平に運は降り注いでいる、ということがわかるだろう。それでは何が違うのか?私が考えるに、運のいい人は公平に降り注ぐ運をうまく利用することができる。それは行動や考え方によるものが大きい。極端に言うと、不運も考え方によって運が良いに変えることができる。

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今の自分を生かすとも書いてある。
今の自分とは違った人になるために努力することは、かえって「運のいい人」から自分を遠ざけていってしまう。いろいろな視点から脳科学に基づいて説明されているが、私には難しく感じた。結論から言うと、私たちの脳は自分では変えることのできない生まれつきの個性を持っているので自分の特徴を自覚することで補正に対処していくことが大事でそもそも自分自身を変えると言う事は難しい技である。


ありのままの自分を愛するにはどうするか?今の自分を褒めることと書いてある。自分は運が良いと決め込むのだ。

自分は運がいい」と決め込むのも、運がよくなる秘訣である。そこに根拠は必要ない。

「自分は直観力がすぐれている」と思っている人に、ほとんどその根拠がないことを示す調査結果がある。それと同じで、「運がいい」と思っている人に明確な根拠がある場合はまれなのだ。何かに失敗したとしても、「運がいい」と思っている人は、自分は勉強不足なんだと言うことを自覚し結果的に努力をする。「運が、悪い」と思っている人は、運のせいにしてそれ以上の進歩がない。この両者の差が積み重ねとなって長い年月をかけて実績の差になってしまう。

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自己イメージをプラスするのもとても大切である。自分ならできるということである。本では、学歴の高い学生であればあるほど、自分に自信を持ち、自分は運が良いと思っている傾向があると書いてある。確かに、厳しい受験競争に勝ち抜くために、勉強して結果を出しているのであるから自身もあるだろうし、逆境に立ったときの自己イメージもよくできるのだろうと思った。

人を育てるということも書いてある。こちらも科学的に検証されているので、詳しくは本書を読んでいただければ良いが、自分の子どもに限らず愛情をもって誰かを育てると、オキシトシンが分泌されて記憶力と学習能力が向上する、ということがわかる。「人を育てると自分も成長する」ということだ。確かに人に説明したり、育てたりすると、1番は自分が勉強になる。ただ人が成長するのと運とは、具体的に何が違うのかと言われるとちょっとわからない部分もあると思った。

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明確な目的を持つことも大事と書いてある。
セレンディピティーと言う言葉があるこれは「思わぬものを偶然に発見する能力、今を招き寄せる力」とあるつまり偶然の幸運をキャッチする能力と言うことだ。目的が定まっていれば、それに向かって具体的な努力を重ねることができる。そのための知恵もわくし、創意工夫も生まれる。逆にいえば、具体的な目的がなければ、幸運も降りてきようがないということである。そしてその目的は、自分なりの価値観、「しあわせのものさし」で測ったものでなければ意味がない。

私が読んでいて、気づいたことは、運のいい人は、行動、考え方が前向きなため、脳が運の良い方向に向かっている。要するに運がいい脳になっていると思った。たとえ大人になっても、凝り固まらずにどんどん新しいことに挑戦していくこと、失敗をしても、トライアンドエラーを、繰り返し成長していける人だと思った。

脳科学者の視点から、「運がよくなる方法」について科学的に論じられている。私にとって難しいところもあるが、できることから挑戦していきたい。このほか、人付き合いとか、ライバルとどう接するかなど、面白い項目もある。手に取って読んでみて、しばらくて時がたった時に再読してみるのも面白い。自分自身はどうだったのか?反省材料にも、なりそうだ。