【個人的読書感想文】生きる勇気 アルフレッド・アドラー (著), 坂東 智子 (翻訳)
人間の生き方についての本を読みたかったので、読んでみた。「人はみんな、どんなことでも成し遂げられる」というメッセージが心に残った。人生の目標が人の行動の方向を決定づけていることが描いてある。人生の目標とは何か?自分自身に聞いてみる。わからない。
いろんな人生目標について、描いてあるようだ、ちょっと読んでみようと思う。
個人の人生を「全体」としてとらえ、一つ一つの行動や反応、欲求に、その人の人生に対する考え方が表れる――これが「個人心理学(アドラー心理学)」の考え方だ。例えば、悪いことをしたことについて、その行為を非難するばかりでなく、その人の個人的な事情や、すべての行為、活動を知り、実際行った行為の隠れた意味を理解することが求められる。
人間は、抱えている欠陥や問題を克服するために、将来に向けた具体的な目標を決める。将来の成功を頭に描けば、今の苦しい状態を乗り越えられると考えるのだ。
人は幼少のころから、そうした「目標」を決め、具体的な「形」にする。そして4、5歳までに、大人になったときのパーソナリティーの「原型(プロトタイプ)」のようなものが作られる。この「原型」には子どもの「目標」が反映されており、「原型」が作られることによって人生の方向性が定まる。だから、子どもののちの人生に起こることを予測することも可能だ。
この点は、過去を振り返ってどうかなぁと思ってしまった。子供の頃の型が、そのまま大人の原型になるという論理は、生まれ持った才能や環境で、ある程度の将来が決まるということはなのだろうか?
相手の内面を知るには3つのステップが必要とされている。1つ目は自分のことだけでなく、周りの人たちにもどれくらい関心があるかということを示す感覚。2つ目は感情があるかどうか。3つ目は先程述べた原型すなわち子供時代に作られるパーソナリティー解明する。
人に関心があったり、相手から関心されるということは、困難にぶつかっても、乗り越えられる要素があると思う。キレやすいか、キレにくいかも重要だ。幼少期にどのような環境で育ったかを知ることができれば、相手を知ることができる。これは納得した。
優越コンプレックスと劣等コンプレックスがあると言われている。この2つは対極にあるが、どちらも埋め合わせるものである。2つのつながりを見つけられることができればその人の本質を知ることができる。
とても面白いことも描いてある。相手のライフスタイルを知ることで、相手の未来も予想できるということだ。特に幼少期のライフスタイルが重要で、困難に打ち勝つには、幼少期の苦労が必要だということなのだろうか。確かに、困難や数多くの問題は、生きている限りやってくる。過去も現在も未来もだ。その人のライフスタイルで、どのように対処するかが決まってくるのだろう。
生まれた順番や兄弟姉妹がいるかどうかも重要になると言う。確かに長男や長女は、どちらかと言うと、保守的でしっかりしているイメージがある。
学校が子供たちにできることは、社会のための教育をすることになる。自分の為だけでなく、人と関わり合う共同体感覚を身につけさせる。子供を批判したりせずに、問題を理解して共に解決するという考え方が大切である。
「問題のある子どもたち」には、共通する明確な特徴がいくつか見られる。彼らの多くは、とても野心的で、まわりの人たちを支配したがる。だがそれは、誰かのための行動ではない。ただ支配したいだけだ。彼らはすぐに怒り、つねに誰かと敵対する。
一方、甘やかされた子どもの場合は、人生の問題に対処する準備(心構え)ができていない。だから、解決を先延ばししたり、完全に立ち止まって気晴らしになるものに逃げ込んだりする傾向が見られる。
このことについては、納得できる。人生の問題に対して逃げたいがために、劣等感が生まれる、そして問題の対処能力が無くなる。
人間の能力は、そんなに変わりはないと思う。
生まれた環境や条件によって、性格が変わり、本質ができてしまうことも理解できた。だから、共同体感覚が必要になり、足りないところを助けて合って生きていかなければならない。これからの厳しい世の中になるであろう人生においては、必要不可欠ではないか。
子供に対する見方も変わった。所詮子供だからではなく、1人の人格者として接するべきだ。もちろん大人と一緒って訳にはいかないが、人としての尊厳を持って今まで以上に接することは必要である。
この本を読んで、自分自身も原型があるということに気づく。過去の選択や今の仕事などは、すべて自分の今までの経験や環境、条件などで決断してきた。過去の自分自身に縛られたくないという思いも強いのだが、ある程度、認めなければならないと思った。自分自身の中の原型と共に、いろいろな選択をしていきたい。
本書ほ、アドラー心理学の代表的な名著である。いろいろなトピックが書かれている、恋愛、結婚、子供、性、なども、個人の心理学に基づいて解説されている。興味がある人はぜひ読んでもらいたい。