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【個人的読書感想文】 戦略の創造学

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経営者はもちろんのこと、一般的な会社員でも経営学を学ぶことの意義は大きい。自分の仕事の質を高めるだけではなく、自分が進むべき方向性を定めるためにも経営学は多くの示唆を与えてくれる。しかし、経営学用語の意味を理解しただけでは学べたことにはならない。ドラッカーの経営哲学や、ポーターの競争戦略に触れ、理解したとしても、それを実践に移すことは簡単なことではない。近年注目されているデザイン思考に至っては、たくさん解説書が出ているために知った気になって、そこで止まってしまってはいないだろうか。

デザイン思考とは何なのだろうか?
デザインとは、私は物の形や色合いなどを想像するが、調べてみると、異なった意味があることがわかる。それは、新しい発見をするために問題を解決するプロセスを言うことである。デザイナーとは顧客の要望を汲みとって仕事をすることであって、デザインとは顧客のニーズに応えるもの。自分の感性を表現するというのは、アートということらしい。

またこの本では、日本企業が閉塞感漂う現状から脱するための方法についても焦点を当てている。日本企業が求めてやまないイノベーションを引き起こすためには、今こそデザイン思考と戦略の両面から思考することが必要だ。そもそも「自社のビジネスとは何か」から立ち返り、会社がイノベーションを引き起こして競争力もつために何をしなければならないのか、考えるきっかけにしていただきたい。

「自社のビジネスとは何か」「自分は世の中に対して何ができるか」は、聞かれてもなかなか即答できない。結局は仕事であり、知識やスキルを生かして貢献するということなのだろうけど、進歩がなければ、ならない。イノベーションと表現されているが、そこまで行かずとも、変化に対応できる工夫はしなければならないと思っている。

日本には「課題解決のための発想」がいたるところで使われていて、それが生活に溶け込んでいる。車の切り返しが必要ないように回転するターンテーブルがある立体駐車場や、男性用トイレに取り付けられている傘を掛けるフック。そうした例は、ユーザーの痛み・悩みに共鳴し、それを解決するための案を「デザイン」した成果だろう。

確かに逆転の発想は、ありがたい。思いもよらぬ考えに驚嘆する。私が最近、驚いた逆転の発想は、目覚まさない時計である。これは大変面白いので、興味がある方は調べて見てほしい。これこそが、デザインの知恵とも言える。

消費者の認識の変化や、産業・市場の変化は新しい機会を創出する。技術革新によって世界中で「すでに起こった未来」となっていた消費者の認識の変化を見抜くことができずに、日本はスマホ市場で後手を踏んだ。テスラは、参入障壁の高い自動車産業に対し、シンプルなデザインの電気自動車や、ディーラーを通さない直接販売網といった、変則的な方法で市場参入を果たし、自動車産業の市場構造に変化を起こしている。

生産、流通、小売、消費の流れが変わってきている。インターネットの出現で、すべての人に平等に情報が行き渡る仕組みになっている。このことで物の購入する選択も増え、消費者がいかに安くて高度なサービスが受けられるかということに注目がされてきていると思う。これからは環境、人口の問題が大きな問題になる。何か部分的にと関われたらとは思っている。

先述したように、新しい戦略モデルを構築するためのはじめの一歩は、すでに起こっている変化を見つけ洞察することだ。その上で、成功したイノベーターになるためには、人間の行動、心理的属性、そして共感を理解し、消費者に新しい「意味」を与える必要がある。

これを読んで、意味とは何だろうと思った。
人間が人間である以上、感じる事、物は一緒だし、
そこから今は何を求められているのかを考えることなのか。物事には、トレードオフがあり、必ず何かが欠けている。そこをカバーすることも大切な考えかもしれない。

日本企業は、「良いものを安く」という戦略を採用することが多い。コスト・パフォーマンスを高めて他社との競争に勝つ。間違った戦略ではないが、長期的に成功するためにはもうひとつの仮説が満たされる必要がある。それは、コストのような客観的な評価軸ではなく、直感的な意味も購買の重要な決定要因となるのではないか、ということだ。

良いものを安くはサービスとして理想的だと思う。しかしながら、限界もある。長期的な継続を考えると、良いもの値段が高い、けれども、このサービスは必要である。もしくは、欲しいというクオリティーにしなければならないとも思う。

現代の経営モデルを成功させるためには、マネジメントの能力が重要だ。グローバリゼーションの時代では特に、観察力、好奇心、本質を見抜く洞察力、聞く耳と対話力をもつことは重要な資質となる。デザイン思考ではさらに、人との共感を持つことができ、進歩的な考えを理解するだけでなく、積極的に活動できる人材が必要不可欠となる。

この本を読んで、わかったことは、良いものを安くではなく、その先にあるものや、成長できる戦略を考えて、実践してみること、そしてどんな付加価値が求められているか?ビールの事例などが多く紹介されていたが、世の中のサービスは、まだまだ多くの付加価値を付けられる可能性があると思った。

 
 
参考文献