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【個人的読書感想文】西郷南洲翁遺訓 高潔な精神と広い度量

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何年か前に大河ドラマで、楽しませていただいたと共に、とても勉強になった西郷隆盛さん。実績は改めて語るほどでもないが、この人の人気は今もかなり疲れている、とても人柄がよくどのような状況においても「敬天愛人」を実践し信念の人である。

驚くことに、この本は庄内藩今の山形県の9坂子達の手で作られたと言う。庄内藩と言えば戊辰戦争では薩摩と戦った敵である。なぜこのような藩が、このような本を書いたのか、とても興味深い。

当時は欧米列強がありアジアの国々は次々と植民地化されていたはず。なぜ日本が植民地化されなかったのか、独立を守り通す出たのか、西郷さん達の見えない力があったのではないかと思い、この本を読んでみた

1つ目は

明治元(1868)年、戊辰戦争も終盤の頃、幕府方の庄内藩薩摩藩を中心とした新政府軍を迎え撃ち、善戦の末降伏した。焼き討ちの遺恨により庄内藩主と重臣たちは切腹を覚悟したが、参謀の黒田清隆は終始庄内藩主に礼儀を尽くし、重臣たちにも寛大な処遇をした。後に、この処遇は西郷隆盛の指示によるものと判明した。

感激した酒井忠篤西郷隆盛に親書を送り、明治三(1870)年には藩主以下70数名が鹿児島を訪れた。彼らは西郷から兵学を学び、その後何度も西郷と接する機会を持った。そして折に触れ、西郷が語った言葉を帳面に書き写したり覚えたりした。ということだ。

この件を読んだときは、なぜ庄内藩が敵である薩摩藩西郷隆盛の本を書いた理由が理解できた。

2つ目は

西郷南洲翁遺訓』の内容をひとことで説明すると、「上に立つ指導者の徳をみがくための教え」である。この教えの根本にあるのは儒学の『大学』だといわれる。ということだ。

上に立つリーダーは相手の立場、相手の考えをよく理解して発言や行動に移さなければならないと言うことを自分なりに理解をした。

3つ目は重要な役職や地位にある者は、わずかでも私心をさしはさんではならない。自身のことはもちろん、出身地や出自が有利になるよう取り計らうなどもってのほかだ。どんなことがあっても心を公平にすること。そして、天の道理を実践することが重要だ。この心がけを持って、日本中から広く有能な人材を選ばなければならない。それが天の意思である。ということ。

自分より仮に有能な人物が現れたら、まずその人物に自分の立場を譲るべきだと言う事。仮に才能がないのであれば決してその地に就かせる事はしない、あるいはその地位を剥奪することが重要である。と思った。

4つ目は

人の上に立つ者は、民の手本となることが求められる。どんな時も慎み深く、品行を正しくすること。おごりたかぶったり、偉そうな態度をとったりしてはならない。また、つねに倹約につとめ、職務に懸命に励むべきだ。

しかし、これだけでは十分でない。国民が見て「あんなに身を粉にして働くなんて気の毒だ」と思われるくらいでなければならない。そこまでしてやっと、政策は滞りなく行われるだろう。ということだ。

現在では豪邸に住んで高級な車乗ったりすることがその人のステータスの表れでもあるがこの本では決してそのような事はしてはいけないと書いてあると思った。

5つ目は
世の中には、君子と呼ばれるほどの教養を備えた才能溢れる人物がいる。その一方、ありきたりな凡人もいる。「君子」を登用しすぎて凡人を退けることは、問題の種になるであろう。ということ。

凡人でも個性がある。10人いれば10人の個性がある。その個性を活かして投与するのがリーダーの役目であり、逆にリーダーは凡人ではなく君子がやるべきだと私は思う。

6つ目は新しい国造りを始めるにあたってまずやるべきなのは、日本という国の特質を知ることだ。そして道徳によって日本の良いところをより強靭にする。そのうえで、あせらずに諸外国の長所を取り入れていく。というこだ。

ここに書いてあるが、決して真似をしてはいけない。真似をすると言う事はそれだけ価値が下がると言うこと、国とすれば国力が下がるということが語られている。そのためには道徳を勉強し、自分の経験や知恵をフルに生かして仕事に全うすること。そこからアイデアは少しずつ生まれてくるということだと思った。

最後に

誰でもはじめのうちは自己本意にならず、ものごとを慎重に進めようとするから成果が出る。しかし次第に手柄を立て、名を挙げるようになると、いつのまにか自分自身に囚われて、おごりたかぶる気持ちが大きくなっていく。あげくは成功体験に酔って、無理にことを運んだり、ずさんな仕事をしたりして失敗する。これらは自らが招いた災いである。ということだ。

人間というものは、実に愚かな動物だと戒める。痛い目に遭わないとわからないのも人間。敬天愛人という言葉は、この事の戒めなのではないかと思った。自然を敬い人を愛すること。自分の事ははじめではなく、最後にすること。人間の原点がここにあると思った。

過ちを犯したときは、間違ったと反省すること。くよくよしない。結果にこだわらず、たった独りのときでも、たとえ人が見ていなくても身を慎んで、道理に背くようなことはしないことだ。
日頃から万が一のことを心がけておく、何か起きた時は冷静に対処できる。

この本はとても勉強になる。人間としての倫理観、生き方、その時の状況から想像できること。歴史は、時間とともに繰り返すと思う。いつ何が起きても、対応できる精神力を始めとした準備は大切だ。

悩んだ時は人としてどれが大切かを優先する事だ。

 参考文献

www.flierinc.com