読書感想や思っていることを話すブログ

世の中の不思議なこと、疑問に思ったこと、日々感じたことを話します

【個人的読書感想文】読んでない本について堂々と語る方法

f:id:wakatech2000:20201229122852j:image

読んでいない本についてコメントしなければならない場に、一度や二度は遭遇しているに違いない。友人や同僚との会話の中、あるいは顧客へのプレゼンテーションの中など、様々な場面で読んでいない本についてコメントする状況に遭遇する。そして、そのたびにやましさを感じる。なぜだろうか。読んでいないのだから、やましいのは当然かもしれない。

とはいえ本書で明らかにされるように、「読んだ」と「読んでいない」の区別は簡単ではない。私たちは「読んでいない」ことを過度に気にしているのではないか。本書の中に引用される文学作品の登場人物、あるいは作家たちの考えを読むと、読書について当たり前と思っていたことが、じつは思い込みに過ぎないのでは……と気付かされる。本を読んでいなくとも、その本について語ることは、当然できるのだ。

ただし本書は、本を読まないことを単に推奨しているのではない。テクストが秘めているものを深いところから汲み取るために、本を読んでいない状況を活かすことができると主張しているのである。そのためにはどういう認識、心構えが必要なのか。流し読みでも飛ばし読みでも構わない、本要約と本書を読んで、ぜひ考えてみていただきたい。そこに自己発見と創造への道がある。

 

たまに、自分の周りにも本を読まずに、感想をスラスラ言える人がいる。なぜ?と聞くと、表紙、裏表紙、目次、後書きなどで、内容や著者の言いたいことが、おおよそ理解できると言う。何かコツがあるのではないか?と本を読んでみた。

「読まない」ことの究極の状態は、本を一冊も開かないことだろう。しかしこれは、あらゆる読者がおかれた状態に近い。なぜならば、存在するすべての本を読むことは不可能であり、どれほどの読書家でも読める本には限りがあるからである。

 

ゆえに教養があるかどうかは、なによりも自分を方向づけられるかどうかにかかっている。教養ある人間はこのことを知っているが、不幸なことに無教養な人間はこれを知らない。教養があるとは、全体のなかで自分がどの位置にいるかがわかっているということである。それはすなわち、諸々の本はひとつの全体を形作っているということを知っており、その各要素を他の要素との関係で位置づけられるということである。教養ある人間は、特定の本を読んでいなくても別にかまわない。内容は知らないかもしれないが、その位置関係はわかっているからだ。ある文化の方向性を決定づけている重要書の見取り図を描けるかどうかが、書物について語る際には決定的に重要なのである。

 

先程も言ったが、本を読まずに理解できる人とは、目次を見て、サラサラっと全ページをめくり、気になったところだけを読むということ。さらにインスピレーションを得たページは何度も読み返して記憶に定着させることだと思った。

 

ざっとしか読まない人は少なくないだろう。そのように流し読みしかしていなくても、本について語ることはできる。それどころか流し読みは、本をわがものとするもっとも効果的な方法かもしれない。

書物を読むとき、そこには他者に従属する危険性がある。教養というものは、他人の書物にのめり込む危険をはらんでいる。そしてみずから創造する者としてふるまうためには、この危険を回避しなければならない。

 

文学について考察しようとする真の読者にとって、大事なのはある特定の本ではなく、他のすべてを含めた全体像である。単一の本にばかり注意を向けていると、この全体を見失う危険が出てくる。あらゆる本には、大きな法則や観念に関係する部分がある。それを見逃すと、その本自体を深く捉えることもできない。

この点からも、私は前書きと目次を見て考察することが大切だと思った。


「読んでいない」状態とは、単純な読書の欠如ではない。そのことを踏まえたうえで、読んだことがない本について語らされる状況について考えてみたい。

社交上の集まりにおいて、人々の前で読んだこともない本について、意見を述べなければならないことがある。それはたしかに居心地の悪い瞬間だが、話題を変えるなど、ちょっとした機転で切り抜けることもできないわけではない。

たとえ全員が本を手に取ったことがあり、読んだことがあるという珍しいケースでも、話題にされているのは、現実の書物よりも断片的で、再構成された書物である。すなわち他の読者の書物と同一視することなど、ほとんどできないのだ。

断片的に読んでみて、そこから感想を述べることはできる。そこから、枝分かれさせて考えることもできる。何も一言一句丁寧に読む必要はないと思う。確かに丁寧に読むことは重要だが、吸収できるかと考えるとそうでもない。

まとめとして、全般的に難しい表現が多いが、読書と言う物を考えさせられる本である。必ずしも、全てを読む必要は無いのだなと思ったし、書き手の言葉に対して、自分自身の疑問や考えを感じながら、断片的にでも読んでいくと面白いと思った。

 
 
参考文献