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【読書レビュー】 正欲 朝井リョウ

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あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。
息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。
ひどく不都合なものだった――。
これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?
あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。
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朝井リョウさんの本は読んだことがありませんでしたが、インターネットで見かけた、オンリーワンのつらさに関する記事を見て、自分の想像力のなさを、見せつけられた気がしたのを覚えています。
多様性、ダイバーシティという言葉はよく聞きますが、全部救えるほど、両手は大きくなくて、どうしたって掬った水は溢れてしまう。
わかり合おう、と言いながら、許容範囲を広げようのように使われて、「でもあなたの「それ」は違うから」という声が聞こえてくる。
きっとこの本は、そんなテーマを持って生まれた本なのだろう、と私は思います。
冒頭の事件を見て、あぁ、そういう本なのか、なんて思っていましたが、読んでいるうちに、彼らの頭の中を見ているうちに、単純なことではない、という事実を知らされます。
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これは問題作といわれるかもしれない。
最初の数ページで心の奥底で思ってたことをほじくり返された感覚になった。
性的マイノリティにすら当てはまらない彼らの苦悩、それを満たす術。
朝井リョウさんの作品は独特のワードセンスが光っていて、個人的にはそれが楽しみ。
例えば動画を観ている途中、携帯の上部に新規メッセージ受信のお知らせが表示されると、まるで、自分が今観ていた動画をメッセージの差出人に覗かれたようなきもちになる。
一文字入力してすると、予測変換の速報たちがすかさず手を挙げてくる。
実体験なのだが、職場に同僚の悪口を周りに言いふらして、「仕事できる自分、できない同僚、そう思うよね?みんな!」みたいに同調求めてくる奴がいるんだけど、それが何回も重なるうちにソイツは周りから疎まれ、少数派になっていったように思う。
マイノリティで生き辛さを感じるのは、性的マイノリティだけでない。
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読む前にはこのタイトルを見て「正しさと欲は正反対のものでしょ」とギョッとしましたが、読み終わった後には「正しくない欲なんて無い!ハイ!みんなごちゃごちゃ言わないの!」と主張したくなってしまった。
しかしそれも求められては居ないそうなのでぐっと堪えましょう。
この本を読んでから人生がつまらないです。
この本に出会う前に感じられた日常の些細な恍惚も娯楽も優越も享楽も、安易なシンクロもチープな憐憫も、この本を読んだ後では全て許されません。
私の世界を平和に形造っていた薄皮をべろっと捲られて朝井リョウが醒めた顔で「なんだよ、ずっとこれが見たくてそんなに騒いでたんだろ」と吐き捨てます。
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私が勝手に思ってた多様性という言葉が、この本を読んで、ほんの一部しか分かってなかった、というか一から考え直さなきゃいけないのかなーって衝撃的でした。

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